複数恋愛は「浮気」じゃない?

『an・an』は、「複数恋愛」のまるでお勧め記事になっていった。

見出しは「一人の彼じゃ満足できない! 複数恋愛って、イケないことですか。」で、作家を囲んで、複数恋愛を実践する女性たちの座談会が、四ページにわたって続くのだ。

小見出しにしても「異なる世界の男たちと会い、複数愛で自分を磨く!」と前向きだし、だいいち、浮気をしているという自覚もなかったりするのだ。いわく、「女の複数恋愛は浮気とは違うもの。気持ちを分割したりできないから。それぞれが100%の恋なんです」。

これって、すごい発想だが、次のように座談会では語られる。

B子 「でも、浮気とは違う?」
作家 「だから、男性なら100ある気持ちを人数分で分割するから浮気だけれど、女の子は100が増えていくだけなのよね。」
A子 「そう、それはそれできちんと恋愛してますから。」
梅田 「スイッチが切り替わるように、会う人会う人で100%なのね。」

早い話が、男性の複数恋愛は「割り算」になるのに対し、女性の場合は「掛け算」になるとのことなのだ。

まったく何の根拠もない議論なのだが、複数恋愛実践女性にとっては結構、心強い仮説である。

この記事の最後をしめくくるのは梅田みかが教える「複数愛成功のための6つの掟」だ。

要点をまとめると。次のようになる。

1 他の男性の気配を感じさせないように、デートの前には全身、持ち物、携帯履歴を総チェック。
2 複数男性を独占する以上、女性には嫌われることを覚悟する。
3 それぞれの男性との意思の疎通や、完璧なスケジュール割りを組むには、まめさが必要。
4 バレても絶対に認めないことが相手への優しさである。
5 複数恋愛に自分が向かないタイプなら、楽しめずに罪悪感やストレスに悩むだけなので、やめる。
6 いつまでも周りに男性がいるわけではないので、年齢とともに引き時を意識し、自分磨きを怠らない。

この「掟」で注目すべきは、複数恋愛向きの女性と、そうでない女性がいるということだ。(そしていくら「浮気じゃない」と否定しても) これすなわち、楽しんで浮気のできるタイプと、浮気をしたくない(あるいはうっかり浮気をすると苦しむ)タイプにそれぞれ対応するのだろう。

この記事の四ヵ月後、『MORE』も、「複数恋愛にはまる女たち」を六ページの特集記事として掲載している。「『二股、三股でいろんな男性のおいしさを一度に味わいたい』そんな欲張りな女性が急増中」とある。また「複数恋愛経験率58%!」と、信憑性に問題のありそうな「読者100人」のアンケート結果も発表した。

いかにも複数恋愛が最近の女性の新しい恋愛スタイルといわんばかりの切り口なのだけれど、いやなに、マスコミが以前は話題にしなかっただけじゃないのだろうか。

つまり、女性誌といえども、マスコミの体質は案外古く、男性の編集者が中心となって、男性の感性で、つくられてきたという事情があったはずだ。彼らにとっては、「二股」くらいまでなら「恋愛相談」のネタとしては理解できただろうが、それ以上の数の男性と楽しんで付き合う女性の存在なんて、考えられなかったのではあるまいか。

しかし今は元気な女性たちが、雑誌編集に加わっている。記事も、より女性の実態に即したものになりつつあるのかもしれない。

『MORE』のこの記事にも、実践者たちが登場して対談形式で事情が語られてゆくのだが、罪悪感は、ほとんどなさそうである。たとえばセックスについても「エステに行くようなもの」と、言い切ったりする。その程度の行為で、「特別なもの」ではないから、特定の男性ひとりだけとの付き合いと限る必要もないのだ。

考えてみれば、男性にとっても、「フーゾク」が世の中に存在する限り、セックスはある種の風呂やマッサージの類であることを否定しきれまい。もちろん、自分はそんないかがわしい所には行ったことがないと、胸を張る男性もいるだろうが、それだってはたして自慢できることかどうかI単にセックスにカネを払うのがもったいないだけかもしれない。(今の四十代以上に限って言うなら、私の知る限り、本当のモテ男は適当にフーゾクで遊んだ経験もある。ただ決してそれにハマリはしないが。)

 

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