分散恋愛

『分散恋愛』という本が出版された。副題は「複数の男性と恋愛を楽しむ生き方」とある。著者の新崎ももは、メールマガジンに「分散恋愛」というエッセイを発表して読者の共感を得、彼女らの手記や相談を取り上げて、このテーマで一冊にまとめたのだ。

「複数」よりも「分散」のほうが、恋愛形態がより明白になる。「自分の心と身体が元気でいられるために複数の男性を自ら選ぶ」のだが、前述のように奇妙な掛け算になる理屈ではなく、自分の恋を「分散」させるというのである。つまり、自分のハートを分散して複数の男性に与え、また彼らからハートのかけらをもらうと、つぎはぎながら一つの立派なハートが完成し、心が満たされるという理論なのだ。

そこでこの「分散恋愛の掟十ケ条」は次のようなものだ。

 

①相手を束縛してはいけない
②相手から束縛されてはいけない
③心と心のつながりがなくてはならない
④デートのときは相手だけを見つめる
⑤お金は持っている方が出す
⑥相手の私生活に踏み込まない
⑦相手を私生活に踏み込ませない
⑧主導権を相手に握らせない
⑨自分の時間を大切にする
⑩毎日を幸せな気持ちで過ごす

 

この掟から推測できるのは、物理的にも精神的にも自立した女性でなければ、分散恋愛は無理ということだ。もちろん「アナタの色に染まりたい」とか、「アナタがすべて」といった演歌調の言葉に酔うタイプにも向かないだろう。

逆に言えば、仕事を持ち、自分の趣味や好みをはっきり知り、楽しむことに貪欲な女性にとっては、「分散恋愛」というこの交際法が、もっとも好都合のはずである。「自立して生きていくためには、一人の男に依存してはいけないのです」と説いている。

たとえば忙しくても仕事に生きがいを感じているライフスタイルにおいて、重たい恋愛関係は負担である。毎日メールや電話をもらうのも、うっとうしいし、ましてやそのようにまめな連絡を望む男性は願い下げ。『ベルサイユのばら』じゃあるまいし、愛や恋だけで地球が回っているわけじゃないのだ。

また、「分散恋愛」が「浮気」と異なると断言する。まあもともと「本気」と「浮気」の線引きができないような交際なのだけど。なにしろ「自分の空いた時間にだけ会える便利な男を調達する」のだとか。そして複数男性と付き合う意義を、さらに次のように説明する。

「短時間でエネルギーをもらえるような男でなければ付き合うことはしません。しかも、一人からではエネルギーが不足するため、複数の男性とうまく恋愛をするのです。」

こうなると「分散恋愛」というより「パートタイムーラブ」なんてシャレだほうが合うような気がする。

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